飄々楽住

都会にはもう二度と戻りたくない、田舎ライフを楽しむ

地方創生にみるコミュニティ・ビジネスが失敗するたった2つの理由

それっぽいSEOを意識したタイトルを付けてみました。

さて、本題。コミュニティ・ビジネスというものが地方創生ではよく聴かれます。
私は、一見地方を活性化するために大事なこのコミュニティという言葉こそ、曲者だと思うようになりました。
コミュニティに潜む罠をご紹介致します。

本記事のまとめ

  • 失敗理由1.コミュニティとは何物かが曖昧
  • 失敗理由2.コミュニティの、誰が、何に、権限と責任を持っているかが曖昧
  • 上記2つが曖昧だと、馴れ合いになるか、継続せずに終わる
  • 本来ビジネスという側面だけを見れば、コミュニティという言葉ではなく、ステークホルダー(利害関係者)という視点で見たほうが良い

コミュニティ・ビジネスとは

まずは定義をおさらいしておきます。

コミュニティビジネスは、地域資源を活かしながら地域課題の解決を「ビジネス」の手法で取り組むものであり、地域の人材やノウハウ、施設、資金を活用することにより、地域における新たな創業や雇用の創出、働きがい、生きがいを生み出し、地域コミュニティの活性化に寄与するものと期待されています。

http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/community/index.html

図解もされているコチラも一見わかりやすく説明してくれています。
cb-s.net

失敗理由1.コミュニティとは何物かが曖昧

コミュニティ・ビジネスって、そもそもの言葉としておかしくないですか?

私がコミュニティ・ビジネスという言葉に対して、違和感を感じる一番の理由ですが、そもそもコミュニティが存在しないビジネスなど存在しないという点です。というよりも、人と人とがつながれば、そこにはコミュニティが形勢されます。いわば家族も、会社も、フリーランスの仕事ですら、何かしらのコミュニティです。では何故、わざわざコミュニティなんて言葉を使うのでしょうか?なんとなくふんわりとした、実に気持ちの悪い言葉を孕んでいるのがコミュニティ・ビジネスだったりします。

コミュニティ・ビジネスの失敗の原因の1つは、コミュニティの定義を曖昧な所からスタートしてしまうこと

ビジネスとして形勢されるコミュニティというのは、皆さん御存知の通り、結構目的が明確であり、そのコミュニティも厳格です。自分のやるべきことを明示し、どんな人と取引をするか確りと精査し、相手の利益は何かを考え、自分の利益を確保した上で、契約、納品、請求を行います。ですが、こと地方創生に於けるコミュニティ・ビジネスはこのあたりがかなりぼんやりしてしまいがちです。なんとなく既存住民でコミュニティを形勢したときに、様々な人が加わり、様々な想いがあり、そこには様々な経済活動があって、それぞれの人生や仕事があり、とても雑多です。野球に例えると、本気で甲子園を目指す人から、趣味で草野球をしている人、グローブを売りたい人、様々な人が集まります。そういうコミュニティは「目的」や「目標」が曖昧になりがちです。この中でビジネスをするというのは、基本的に困難を極めます。

定義が曖昧なコミュニティが陥る罠「アレやろう」「コレやろう」

よくあるパターンは、なんとなく地域の人たちが集まり、ワークショップが開催されます。そして、そこで議論されるのは、目的、目標ではなく「アレやろう」とか「コレやろう」という話。そしてコミュニティ・ビジネスは失敗していきます。詳しくは過去の記事をご参照下さい。結局、何となく成果として報告されて、殆ど価値を生まず消滅します。

michihito-t.hatenablog.com

かくいう私も、こういうワークショップを開催し、地域の方に来ていただいたのに、何も成果を残せず自然消滅させてしまった苦い経験があります。

http://www.daisen.jp/system/site/upload/live/22225/atc_1462201888.pdf

失敗理由2.コミュニティの、誰が、何に、権限と責任を持っているかが曖昧

組織は経営されないとそもそも上手く回らない。

コミュニティというのも一つの組織だったりします。その中で何かをしようとすれば、経営がなされなければなりません。経営とは、経営資源を明確化し、マネジメントしていくことです。コミュニティ・ビジネスの場合の、この経営資源って何ですかという問こそが前述の「コミュニティって何ですか?」という問に内包されます。そして、もう一つが適切にマネジメントされているかがもう一つの大事なキーとなります。

コミュニティの経営では、責任と権限が曖昧になりがち

マネジメントを突き詰めると、責任と権限を明確にして、その責任が全うされるように環境を整備し、一緒に考え、必要に応じて経営資源を分配してあげることです。ですが、こと、コミュニティという曖昧な物の中では、誰が何に責任を持つのか、どういう権限が誰にあるのか非常に曖昧な中で物事が動いてしまいます。そのようなケースでは、結局の所、何となく馴れ合いになったり、いやいやのボランティア活動になり、コミュニティとして価値を創出することは難しくなります。

考えるべきはコミュニティ視点ではなくてステークホルダー(利害関係者)視点

以上2点見てきた様に、コミュニティ・ビジネスという言葉は往々にして、曖昧であり、よく分からない物になりがちです。それ故に、空き家再生や、DMOといったコミュニティ・ビジネスに分類される物であっても、コミュニティという曖昧な言葉ではなく、ビジネスの基本どおりにステークホルダーという言葉を使うべきだと考えます。
ステークホルダーという言葉を使うことで、どんな目的(利害)の為に団結するのか、その利害に誰がどのように関係し責任と権限をもつのか、必然と厳密に考え抜かざるを得ません。

もし、貴方や貴方の周りの人が「コミュニティをー」とか、もっと言えば「横のつながりを大事に」とか、「地域をもっと巻き込んで」といった曖昧な言葉を口や耳にしたら、少し立ち止まって見ましょう。そして、ステークホルダー(利害関係者)という目線で物事を俯瞰的に見るよに心がけてみてはいかがでしょうか?