飄々楽住

都会にはもう二度と戻りたくない、田舎ライフを楽しむ

その地方創生、インパール作戦化していませんか?

色々アイデア豊富な人たちの声を集め、大きな構想を描き、プロジェクトを立案して、地方創生予算を取ったものの…プロジェクトが広がりすぎ、誰も明確に成果がコレと言えなくなってしまう、「このプロジェクトは◯◯」と答えられなくなってしまう、上手く行っていない赤字プロジェクトに大勢が関わってしまう…貴方の自治体でもそんな事が起きていませんか?

安倍政権になってから、地方創生の予算は活気づき、色々な事が行われましたが、なんか上手く行っていない。何故そんな事態が起きるのか、実際に身近で起こった事を、少し大げさに私なりの視点で纏めてみました。

本記事のまとめ

  • 少ない資源を出鱈目に運用すると絶対に失敗する
  • 小さな成功の連続の先にしか大きな成功は無い

とある架空の自治体の話

最近地方創生で国も力を入れているのが観光。その観光を例に、とある自治体が大きな予算を取ってきたという架空の話をします。その自治体は、観光となるような場所に乏しく、観光振興は殆どされていませんでした。行政にも観光に携わる行政マンや観光協会の専従職員はわずか数名です。唯一、観光資源と呼べる綺麗な湖があります。その自治体が、県の観光振興の戦略の乗っ取り、地元住民の声を聞きながら、自治体職員が観光振興プロジェクトを立案することとなりました。その内容は、湖の魅力を活かした観光整備です。湖でのアクティビティ体験(カヤック等)、民泊の整備、湖周辺の空き店舗の活用、湖の畔でのイベントの開催、etc。観光客で賑わう湖の畔、そんな想いを乗せたプロジェクトは無事、国の地方創生予算に採択され、それなりの金額が補助金として自治体に入ってくる事になりました。

企画書通りの話で行くと、アクティビティ、民泊、店舗活用、イベント…やらなくてはならない事が山ほどあります。少ない関係者たちが奮闘し、何とか地域の人たちや他部署の助け、予算で期間職員を雇用して一つ一つ乗り切っていきます。とりあえず、湖のカヤックを購入をし、とりあえずイベントを行ってそれなりに人が集まってくれ、とりあえずコミュニティスペースを整備しました…

しかし、どれも「中途半端」なものが出来上がって行きます。イベントが無い週末は基本的にガラガラ。人が来てくれないので買ったカヤックは陸に上ったまま。コミュニティスペースは管理人を雇って管理はしてくれているけど、お客様は居ない日が続く。民泊もずっと赤字経営

「結局このプロジェクトは上手く行っているのだろうか?」そんな疑問が住民からも出てきつつ、来年、この補助金は当初の予定通り5年が過ぎようとしています。予算が切れた時に、期間職員の雇用や、使われていないカヤック、整備したコミュニティスペース等は一体どうなるのでしょうか?

さて、観光の地域振興を例にしましたが、六次産業化、スタンプラリー、大型イベント招致、市街地活性事業、住民発のワークショップ、移住促進、etc、貴方の自治体でも大なり小なり似たような事が起きていませんか?

少ない資源を出鱈目に運用すると絶対に失敗する

失敗の原因は手を広げすぎた結果、全ての戦場で負けてしまった事

上記の例の失敗が何故起きたかというと、自分たちの資源(ヒト・モノ・カネ・等)がどれだけあるかと、本当に大事なコトが何かを確りと把握出来ていな中で「アレもやろう」「コレもやろう」と手広く計画を広げてしまったことに原因にあります。責任をもってやり切る人が居ない状況にも関わらず、色々やることを手広く広げてしまった結果、やらなくてはならない最低限の仕事に忙殺され、全てのものが中途半端になってしまい、どれも鳴かず飛ばずで終わってしまっています。

分かりやすく戦争に例えます。自軍は10部隊、戦場も10箇所あるとします。どの戦場も8部隊以上を投入すれば勝てるとします。この場合、10部隊を一つの戦場に集中投下して、せめて1勝9敗を迎えるのが正しい戦い方です。しかし、先に上げた自治体のケースは、全ての戦場で戦うと申請書に書いてしまったが故に、全ての戦場に1部隊づつを投入し、全ての戦場で敗北してしまう、そんな状況が発生しているのです。

行政主導のプロジェクトは、予算を取ってくるためにバラ色・玉虫色の計画を書くが故に、戦場を広げすぎてしまう傾向にあります。その結果、自分たちの人的資源を超えたプロジェクトに、ごく少数のそれも素人集団で挑まなくてはならない、そんな状況が発生しがちなのです。

行政予算ほど恐ろしいものはない。

仮に自分の資本と責任で行っているなら、こういう状況に陥った場合、業績を客観的に見て、撤退する、もしくは一旦事業を停止して再度計画を練り直すという判断が迅速に下せます。

しかし、行政予算の場合はそう簡単に行きません。この手のプロジェクトが一度採択されると、やらなくてはならない状況になります。一度予算申請しておいて、やらないと、補助金が降りない、減額されるなどのリスクを伴う為です。また、予算が一度降りてしまった以上、その契約を果たすという事が公務員の仕事でもある為、関係者は今の自分たちの人員体制では難しいと分かっていても「とりあえずやる」ことを求められてしまいます。さらに、現場の担当者や公務員には、辞める・停止するの判断をする権限はありません。故に基本は続行しか選択肢がありません。

また、行政予算の性質上、権限を持っているのが誰なのか分からなくなるケースもあります。予算執行元の国なのか、県の観光戦略を取りまとめる部署なのか、事業計画元の首長なのか、予算執行先の第三セクター代表なのか、ステークホルダーが増えすぎてしまいがちです。当然、関係各位に何かしらの判断を持ちかける場合、調整、資料作成、合意形成などの業務工数が飛躍的に増えます。その結果、どんどん判断が先送りにされたり、たらい回しにされたり、情報を整備する人が居ないという事から、結局無難な「続行」が採択されるケースがあります。

更には、大型の工事や改修の予算が付いた結果、ハコモノ(この例の場合、民泊とか、空き店舗整備)だけが先行して行われるケースもよくあります。少ない経営資源しか無く、運営計画や人員計画が杜撰なまま、先にハコだけ出来るという、よく言われる地方の闇が生まれる温床にもなります。

その結果、辞める・停止する・大事な物だけに集中するという判断がされず、「やらなくてはならない最低限の事」に薄く広く資源を割く事になります。こうして、地域の貴重な資源を負け戦にドンドン投下せざるを得ない構造が生まれます。

私自身の体験談

実際、私も地域おこし協力隊の活動の中で「この企画を素人◯人で行うのは無理があります」「大事な要素に選択と集中をすべきです」という趣旨を具申した際に、「私に言わせれば◯人も居る」「一度決まった事だから変えられない」と切り返されてしまった経験があります。こう言われては、どうしようもありません。太平洋戦争で日本軍が少ない物資と出鱈目な補給でインパールに攻め入り全滅せざるを得なかったのも、きっとこんな状況だったのかな…というそんな印象を受けたのを鮮明に覚えています。

小さな成功の連続の先にしか大きな成功は無い

地方創生は素人の集まりから始まる

基本的には地方の田舎は、何をするにせよ、その道のプロや、マネージャークラスの人材がゴロゴロしているわけでもありません。特に行政主導のプロジェクトの場合、いきなり専門家を雇って出来るわけでもないので、基本的には素人の集まりからスタートすることになります。そんなスタートだからこそ、いきなり全ての事を上手く機能させようとしても上手く行くはずがありません。それ故に、小さな所から始め、素人が目的意識を持ち、主体的に知識を身に付け、積極的に動き、成功体験を重ねることで、プロへと成長していけるような組織運営をしていく必要があります。

よくある勘違い、「やってみることが大事」は危ない

地方創生でよくある勘違いなのですが、「やってみることが大事」「やらないと成功も成長もない」という発想があります。半分正解なのですが、必ず「勝てる戦に限り」という前提条件が付きます。敵兵が1000人コチラに銃口を突きつけた状態で、とりあえず戦ってみることが大事と戦場に送り出す様な指揮官や作戦では、現場の努力は無為に垂れ流されていきます。そんな現場では成功体験は生まれないし、素人がプロになることは絶対にありません。

一度決まってしまうと撤退が難しい行政のプロジェクトは尚の事、企画段階で大事なポイントは何かを明確化し、それに集中出来るよな企画立案、大事なポイントだけに集中出来るような組織運営、大事なポイントを適宜見直す様な体制づくりが明記されている必要があります。

3C分析が有効

この大事なポイントを見極めるためのフレームワークには、一般的には3C分析と言うものが使われます。簡単に言うと、己を知り、敵を知り、戦場を知れば戦に負けることはない、という基本です。この分析も、独善的なものにならないように、お互いにチェックしあい、多角的に見る事でより良い分析が可能です。ここでは3C分析は詳しく解説しませんので、どういうものか知りたい方はGoogleで検索をかけてみて下さい。

風呂敷を広げすぎた時は、選択と集中をし、小さな成功を重ねよう

地方創生にはPDCAみたいな事が、それこそ石破大臣の頃から言われだすようになりました。確りKPIを置いて、業績評価をしましょうという事が書かれています。

www.murc.jp

しかし、いくらそれっぽく業績評価(Check)をしたところで、次の行動(Action)に「戦場を更に広げて勝ちましょう」みたいな事が書かれた日には上手く行くわけがありません。もし、貴方の自治体で、大きく広がりすぎた構想をぶち上げて、どれも鳴かず飛ばずになっているとするなら、このPDCAのCheckの部分に3C分析を取り入れ、分析結果を元に洗い出した大事なポイントに選択と集中をする様な見直しを行ってみてはいかがでしょうか?