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蓮舫民進党代表辞任に見る「ドラゴンボールシンドローム」

本記事のまとめ

蓮舫民進党代表の突然の辞任

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先日まで衆議院への鞍替えを語り、不要と言われた戸籍まで開示して代表で居る前提で動いていた方が突然の辞任。理由の一つに「統率力の無さ」を上げています。邪推ですが、身内優遇の人事や独善的な方針に他派閥ともケンカ別れ、党内で離反者が絶えず、その引責で野田さんが幹事長を辞任するも、党内で彼女を代表として担いでくれる人は居なかった、と思った次第。

蓮舫民進党が犯した3つのミス

個人的な見解では理由は大きく3つあります。

  • (プロモーションのミス)国民の多くに安倍政権批判ばかりで、自分たちの反省が一切無いと思われた
  • (マーケティング戦略のミス)市場調査とポジショニングが出来ておらず、どの層を取りに行くか迷走し、結果最大の票田を小池新党に奪われた
  • (人事のミス)本人も語っている様に、対立派閥を冷遇し、不満の声を拾う事をせず、人事評価軸も作れなかった

どんなに戦術的に優れ、批判・批評が上手くても、戦略面が非常に疎かであり、組織としての仕組みが機能扠せられなければ、結果として沈没してしまう、非常に良い例です。トップに立つものとしては、これらは基本の基なのでしょうから、結果として1年での代表辞任も仕方がないのかと思います。でも、そんな事にもめげず、一つ一つ勉強し、改善し、自身の本懐を遂げるのが真のリーダーなのでしょうが、彼女にはその強さが無かったというのが一番の理由でしょうか。しかし、何故そんな中途半端な覚悟で代表に立ち、首相を目指そうと思ったのでしょうか?

自分なら出来るという幻想

蓮舫代表は「自分は本気で自民党を倒せる」と思っていた節がある

蓮舫さんが代表に立候補した時の言葉からは「自分なら本気で安倍政権を追い込み、政権交代を果たせる」と思っていた節が見えます。厳しく安倍政権を批判し、攻撃すれば国民に理解される、その才能を私はもっている、と言わんばかりでした。自分には出来るんだ、という根拠の無い自信とでも申しましょうか。この事自体は別に悪いことではありません。しかし、自民党批判は岡田元代表含め、多くの人が行っていた。何故蓮舫さんがやればうまくいくのか、その差は何か、明確だったのでしょうか。

ダメなのはダメなりの理由があり、それを変えるのは想像を絶する

さらに、もともと支持率が地に落ちていた民進党を再建するのですから、山ほど「ダメな何か」が党内に転がっていたことでしょう。その解決は並大抵のことでは出来ないでしょう。後述しますが、蓮舫代表は就任当初、「私はよく物が見えていて、間違いを正すことが出来る」と思っていた驕りのような物も見えかくれしました。しかし、ダメなものはダメになる理由があり、その本質を徹底的に見極める知力や統率力が無ければ、ダメなものはダメなまま放置されます。ダメな状態で、本質でない指摘や指示をすれば、余計ダメな物が増え、周りを振り回し、混乱させていきます。そんな状態で、どんなに華麗な国会論戦をしたところで、国民どころか党員すら付いてこないでしょう。蓮舫代表がその辺りの所に気がついた時には既に時既に遅し、みたいな状況だったのかな、とも思ったりもします。

ドラゴンボールシンドロームとは

多くの人は悟空になれない

話は変わって、ドラゴンボールという説明不要の国民的漫画があります。主人公悟空は連戦連勝、正義は必ず勝ものであり、自分の強さを信じ、修行を極め、最終的に宇宙最強の武闘家になっていきます。本当に憧れます。自分もかくありたいし、修行の末に最強の地域起こし人材になってやる、そう思う次第です。

しかし、この悟空、地球人ではなく、サイヤ人という戦闘民族の宇宙人です。一般の地球人とは明らかに異質であり、強いのは修行の成果もあるものの、他人には無い素質があるからに過ぎません。そんな身もふたもないやん、と思うかもしれませんが、世の中そんなものです。多くの人はサイヤ人ではなく、地球人だったりします。どんなに修行しても純粋な強さは地球人最強のクリリンにしかなれない場合が殆どです。実際、漫画の様な最強主人公になれる人なんて、本当に世界の中でも一握りの存在です。

リーダーは悟空の様に強く無くてはならないし、私なら出来るという錯覚

過去の蓮舫さんは、自殺された松岡元農相の事務所経費問題や事業仕分けを始め、批判するということに長けて居ました。良く言えば、物事の不備をそれだけ見抜ける力が有るわけです。そういう人からみたら、世の中ダメなことだらけでしょう。そこに気がついている私がやればもっとうまくいく、そう言う風に見えるでしょう。そして、出来ないことを責め、その責任を問わせ、国民世論に知らしめる。そうやって彼女は名を挙げてきました。しかし、そうやって相手を攻めるとなると自分にも帰ってきます。自分は一切瑕疵の無い、それこそ悟空の様な最強人間でなくてはなりません。

しかし、実際のところ、そんな完璧なリーダーなんて滅多に存在しません。スネに傷の一つもあれば、失敗だって何度もするでしょう。しかし、蓮舫さんは過去の自分の発言に捕らわれてしまった。リーダーたるもの失敗はあってはならない、自分はドラゴンボールの悟空のように強くてはならない、全知全能に政治の全ての事象に間違いなく対処出来ると自己暗示をかけている様にも思えました。

そして、実際、そう世の中上手くいかず、失敗し、自分が悟空で無かったことを悟り、また、周りからはヤムチャ以下と評価され、行き詰まりポッキリ折れてしまった様に見えます。私はその、自分なら出来ると思い込む一方で、自身の負けを認められない事をドラゴンボールシンドロームと呼んでいます。

ドラゴンボールシンドロームはエリートな人程陥りがち

エリートと言えばベジータ様。ベジータ様の口癖は「俺は戦闘民族サイヤ人の王子」です。つまり、自分は特別強く、他のやつに負けるはずがないという驕りだったりします。実際、子供の頃から勉強やスポーツが出来、良い成績を残し、失敗をしてこなかった人ほど陥りやすい罠です。なんでも上手にこなしてきた過去から、自分なら出来るという根拠のない自信がある一方で、失敗を許容出来ない。故に、他人の失敗に厳しかったり、自分の失敗に対する耐久性が低かったりします。蓮舫さんも多分に漏れず、そう言う部分が見て取れました。

地域起こしもドラゴンボールシンドロームとの戦い

この20年での地方の衰退を見るに、多くの人が「何でこんなことになっているのだ」「何でもっと上手く出来ないんだ」と思う事でしょう。こんなに酷い状況なんだから、自分でも悟空みたいに地域の課題の一つくらい解決して、何か作れるはずだ、と。しかし、実際にその課題に取り組んでみると、予想以上に根が深く、地方が衰退してしまっているのには衰退するなりの理由が見えてきます。そして、当初思っていた「こうやれば絶対にうまくいく」は幻想であったり、「こうすればうまくいく」と分かっていても実際は動けなったり、いろいろな事に悩まされます。当初あった、自分なら出来るという謎な自信は大きく揺らいでいきます。それにも負けてドラゴンボールシンドロームに陥らないような強さが必要です。その為には、自分や地域の目的と目標を定め、多くの失敗の中から、小さな成功を1つづつ積み重ね、本当に実現したい物を達成していく、実行力が必要です。

かくいう私も、地元に戻ってきた時は「自分なら絶対にもっとうまく出来る」という驕りのような気持ちがあったように思えます。しかし、現実は全く違い、自分の無力さを痛感する日々です。しかし、それを乗り越えて、本当に実現したい目的や目標を見出し、クリリンだろうがヤムチャだろうが、成功するまでやり抜き、一人でも多くの仲間をふやしていくことこそ、地域起こしと思って精進する日々です。