飄々楽住

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私の愛したApple Computerは死んだ!何故だッ!?

本記事のまとめ

  • 僕はAppleが好きだった
  • 最近のApple製品は、全くシンプルでなく、Coolでなく、革新的でない
  • 何故こうなってしまったかというと、「ジョブズが死んでしまったから」
  • 企業哲学を明確にし、社員一人ひとりが革新的になれる職場を作ることこそ、企業トップの仕事

僕はAppleが好きだった

20年来、生粋のAppleユーザー

かれこれ20年以上前、父親のお古のPerfoma(通称食パン)を貰って以降、Appleのマシンをメインに使ってきた身です。高校時代にはiMac DV(G3)、大学時代はPowerMacG5+Studio Display、それにiBook。大学院時代はMacbook Proを数台引き継ぎ、社会人なってからはMacBook Air(現行)を愛機として活用してきた。iPodiPhoneも割りと出て直ぐに買うくらいのAppleへの愛があった。因みに私がMacを使いだしたのは、丁度ジョブズAppleに復帰した頃であった。

高校時代に生ジョブズを見に行った位、Appleの基調講演にワクワクしたあの頃

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高校時代の2002年、最後のMac World Expo Tokyoにスティーブ・ジョブズの基調講演を聞きに、学校をサボって、鳥取のど田舎から東京まで行く程度にはAppleを愛していた。あの頃はジョブズの基調講演で発表される製品群にいつも心を踊らせ、粗い解像度のストリーミングを徹夜で見たりもした。当時ベージュ色でダサく、かっこ悪かったPCを格好良くしたり、OSの見た目を美しく変えたり、音楽を大量に持ち運ぶと言う文化を作ったり、iPhoneが発表されて、企業価値が一気に上がるずっと前から、ジョブズは僕の憧れ、ヒーローだった。

最近のApple製品は、全くシンプルでなく、Coolでなく、革新的でない

ジョブズが死んでから進化がなくなってしまった

さて、現行のMacの製品ラインナップ、iMac、MacPro、MacBook ProMacBook(Air)ですが、実はこれら、2008年、約10年前からほぼ進化していない。iMacに至っては、ディスプレイが大きくなった位で、見た目も全く変わっていない。その間、Microsoft/PC陣営は、Surfaceを筆頭にいわゆる2 in 1と言われるノートPCが出てきたり、Mac Book Airよりもっとコンパクトで質感の高いPCが出てきたり、気がつくとAppleは置いてきぼりを食らっている。

WWDC'17 20年目にしてiMacは死んだ

さて、WWDC’17で発表されたiMac Proという製品。
www.apple.com
コレでもかというばかりに、基本スペックが如何に優れているかが書き並べられている。あれ?iMacってそんな製品だっけ?「スペック最強」なんてDellのPCが言ってた事ではないか?そもそもProって…iMacって、全てをシンプルに一つに纏めて、誰でも分かりやすく気軽に使え、仕事からプライベートまで、コレ一つで出来る、消費者モデルじゃないの?そういう哲学の元に産まれた製品ではなかったのか?それがProって…。そして、何よりも、10年前から全く変わっていない基本デザインを黒くしてって…、ジョブズが「糞」呼ばわりした後期のPerformaシリーズの再来かッ!!!!

PerformaジョブズAppleから離れている間に出来た、廉価版、消費者モデルのMac。にも関わらず、シリーズ後期にはスペックに拘ったり、高価なTVチューナーをつけたり、拡張用のコネクタ満載にした結果、価格がどえらい事になってしまい、全く売れなかった残念な製品。何よりも、Performaのハイエンドモデルも、色を黒くしたものであった。

事ココに、iMacは死んでしまったと心のそこから痛感した。

Microsoftが出すSurface Studioの方が何倍もCool

10年間iMacが停滞している間に、Microsoftは色々叩かれながらも着実に進化した。その進化の極みが、Surface Studioではないだろうか。15年前に出たiMac G4を彷彿させるディスプレイを自由に動かせるヒンジをつけ、デスクトップPCにタッチパネルを付けると腕が疲れてしまうという抜本的な問題を解決。手やペンやダイヤルで物を動かしたり、より直感的に、よりプロユースを想定したユーザーインターフェースが見て取れる。

www.microsoft.com

ジョブズが居る時代、でかくてダサくてスペックだけを謳うMicrosoftwindowsマシンをAppleはあざ笑っていた。シンプルに、直感的に使え、ユーザーインターフェースが革新的なのがMacであった。それが今はどうだろう。革新の象徴のiMacがスペックだけを謳い、ダサい象徴であったMicrosoftユーザーインターフェースの革新性を売りにしている。

Touch barやApple Watchという「うーん、要らねえ」という何か

iMac Pro以外にも私がAppleを見限った物がいくつかある。その一つが「Toch bar」。最新のMacBook Proの一部高級モデルにつく、ファンクションキーの代わりになる細長いタッチパネルである。
support.apple.com

しかし、コレ、一体何のためにあるのか?ただでさえ少ないMacユーザーの特定の機種だけにしか対応していない物に、一体誰が、どんなアプリを開発するというのだ。私が開発者なら、touch barの利活用を考え、開発する時間があるなら、windows版も含めた全てのアプリが使いやすくなる機能開発を優先するだろう。そもそも、touch barは「簡易ランチャー」程度しか利用イメージが無い。

そして、もう一つの愚の骨頂がApple Watch。先行していたAndroid Gear系がコケにコケた状態で、後追い参戦も何も革新的な物は無かった。スマートウォッチで何かするなら、ポケットからスマホを取り出した方が余程使い勝手が良く、「一体何に使うのか」という代物であった。2日充電しないとバッテリーが切れる為、時計としても「使えない」代物である。案の定、売上は、絶望的な様だ。

何故こんな商品をAppleは連発しているのだろうか…

Appleがこんなにダメになってしまったのは「ジョブズが死んでしまったから」

こんなにAppleがダメな会社になってしまったのは、ジョブズという哲学が消えてしまったからに思える。Appleの基本的な哲学は、スティーブ・ジョブズそのものであったと言われる。製品の最終的な判断はジョブズが行い、何か開発するかには目を光らせ、事細かなことにまでも口を出す一方、何故この製品を作るのか、この製品を作ることで世の中はどう変わるのか、この仕事を達成することが如何に素晴らしいかを強く、熱く語る人物だったそうだ。色々人格に問題があったり、癖の強い人だったそうだが、トップとして「強烈なビジョン」、「熱い思い」を持っており、それを明確に分かりやすく人に伝えられる経営者であった。その人が居なくなった結果、今のアップルは「何が素晴らしいか」分からず、「誰が素晴らしいと判断してくれるのか」も分からず、ひたすら迷走しているように思える。

企業哲学を明確にし、社員一人ひとりが革新的になれる職場を作ることこそ、企業トップの仕事

そんなAppleを見ていて思うことは、やはり企業のトップというのは非常に大事だということだ。幾ら社員が頑張り、社員個人がビジョンを語っった所で、会社の文化は作れない、哲学は周りに伝播しないし、どこからともなく出てきた仕事に流されてしまう。未来のあるべき姿をとことん考え抜き、人にその強い情熱を伝え、共感出来る人を雇い、ビジョンを実現するための仕事に経営資源を集中させる、その権限を有している人物が将に企業のトップなのである。

どんなに良い会社でも、トップにビジョンが無ければ製品は途端に魅力を無くしてしまう。優秀なエンジニア、優秀なマーケッター、優秀なディレクター等などが揃っていたとしても、哲学やビジョンが曖昧な会社は未来を作れない。それが、私の愛したApple Computerで現実に起きたのだな、そう痛感する今日このごろ。